ファーバーは、ある女性(40歳)を例に挙げています。その女性は膝の痛みでクリニックを訪れました。女性はみごとに割れたシックスパックの腹筋をしていました。週に6日ピラティスかヨガをしていたのです。しかしその女性は身体のバランスが悪く、片足立ちで膝を曲げる簡単な片足スクワットすらできませんでした。膝の痛みの根本的な原因は、臀部の筋力不足だったのです。ファーバーのクリニックでの7か月聞に及ぶ研究でも同じ傾向が実証され、対象となった患者の92パーセントは臀部の筋肉が極端に弱いことがわかりました。そして、4~6週間、臀部を強化したことで患者の89パーセントに改善が見られました。同じく、デラウェア大学の研究では、バスケット選手と陸上選手がシーズン中に足をケガをする一番の要因が、臀部の筋肉の弱きであるという結果が出ました。
腹筋を鍛える運動についても、どれも同等の効果をもたらすわけではありません。米国スポーツ医学会の2008年の年次総会で発表された研究では、胴部を丸めながら起き上がる従来の腹筋運動は、主に腹部の表面にある「シックスパック」と呼ばれる筋肉を使うもので、身体の安定に重要な「深層部の腹筋」はあまり使われていないことが明らかになりました。オーバン大学のミシェル・オルソンはEMG(筋電図)電極を使って、様々な体幹運動による筋肉活性化の比較実験をおこないました。ピラティスは「ハンドレッド」(仰向けで両脚を45度に上げ、両手は身体の横に置く)や「ダブルレッグストレッチ」(ハンドレッドのポーズで両手を上げて頭の後ろまで伸ばして45度を維持する)のように胴部を動かさないので、深層部の筋肉を強化するには腹筋運動よりもずっと効果があることがわかりました。ファーバーは、クリニックでの診察の経験から臀部の運動がもっとも重要だと述べています。これはサッカーからサイクリングまで幅広く関係する筋肉です。臀部の運動は重要なことを思い出させてくれる、とファーバーは述べています。「割れた腹筋があっても、必ずしも体幹が安定しているわけではないのです」
【まとめ】
臀部の筋肉と深層部の腹筋は、体幹の安定とケガの予防の面でシックスパックと呼ばれる腹部表面の筋肉よりも重要である。
‐臀部の強化について‐
骨盤と臀部の筋肉は運動中の身体の安定に非常に大きな役割を果たしています。これらは「体幹」の一部であり、腹筋運動をする際に同時に鍛えるべきです。以下の運動を、運動後(運動前ではなく)におこないましょう。徐々に回数を増やし、最終的には20回3セットおこなうようにします。3つの運動では2秒で外側に動かし、1秒で戻る動きを、常に意識しておこないます。
◆股関節外転筋
1.片足にバランスバンドをつけます。
2.バンドをつけた足を、膝を伸ばしたまま外側に動かします。
◆股関節屈筋
1.片足にバランスバンドをつけます。
2.バンドをつけた足を膝を伸ばしたまま前方に動かします。
◆臀部外旋筋(座位)
1.座った状態で、バランスバンドをつけたほうの足を外側に動かし、
ゆっくりともとの位置に戻します。
2.両膝は合わせたままにします。
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参照:WHICH COMES FIRST. CARDIO OR WEIGHTS?
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