身体のバランスを整える専門家_勝どきカイロプラクティック

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2012年8月19日日曜日

筋肉疲労の原因は乳酸ではない?


従来、乳酸は運動における諸悪の根源だと考えられてきました。激しい運動をして「酸素負債(体内で必要な酸素の供給ができない状態)」になったとき、筋肉のエネルギーを枯渇させて動けなくするのも、次の日に筋肉痛になるのも、すべて乳酸のせいだと考えられてきました。少なくとも、運動生理学者は約1世紀にわたってそう信じてきました。しかし、現在ではこの考えが誤りであることが明らかになっています。実は、乳酸は筋肉痛を生じさせる物質ではなく、筋肉にとって不可欠の燃料だったのです(「乳酸塩」と呼ばれるイオンは生体内にあまねく存在し、プロトンと結合して乳酸を形成します) 。

乳酸神話の起源は、1907年におこなわれた実験遡ります。カエルを用いた実験で、血流を遮断して筋肉に酸素が供給されない状態にしたうえで筋肉に刺激を与えたところ、乳酸が生じました。次に酸素供給がある状態で同じ刺激を与えると、乳酸は消失しました。この実験から酸素のない状態で筋肉を収縮させると乳酸が生産され、その蓄積によって筋肉疲労が生じるという仮説が導かれ、以来、生理学者は数十年にわたってこの仮説に基づいて研究を続けてきたのです。

乳酸=悪者という説にはじめて疑いの目を向けたのは、1970年代、カリフォルニア大学バークレー校のジョージ・ブルックスによる実験です。ブルックスの意見が広く受け入れられるようになったのは、ここ10年以内の出来事です。ブルックスは、乳酸が生産されるのは、酸素が不足したときだけではないことを明らかにしました。実は細胞内にある炭水化物は休息中も乳酸に換えられているのです。この乳酸の約半分は、筋肉収縮の基本的な燃料となるATPにただちに変換されます。ATPに変換されて使用される乳酸の割合は、運動中には75~80パーセントに達します(酸素が不要なため)。残りは血流に入り、心臓へのエネルギー供給、または肝臓によってぶどう糖(筋肉を動かすための別のエネルギー源)に換えられます。どの細胞が乳酸を生産し、消費しているのか、また身体がこのバランスをどう維持しているのかという問題は複雑であり、現在も活発に研究がおこなわれています。ただし、その実用性は明確です。持久力を鍛えているアスリートとトレーニングをしていない人は同程度の乳酸を生み出しますが、アスリートのほうがはるかに効率的にそれを燃料として使えることが明らかになっています。これが、アスリートの血液の乳酸レベルが急激に上昇しない理由です。

運動で、「乳酸性闘値(※)」をわずかに超えないようにすることを目標にするのは良い考えです。ただし、その目的は身体が速く乳酸を消費できるようにすることであり、乳酸によって筋肉が毒されることを避けることではありません。乳酸が犯人ではないとしたら、筋肉に疲労をもたらしているものはいったい何なのでしょう?たとえばコロンビア大学の研究者は、筋肉の収縮力を低減させるカルシウムの漏出が原因であると報告しています。しかし、真犯人を明らかにするためには、まだ多くの謎が残っています。現時点では、疲労をたった一つの要因に結びつけることには無理がありそうです。乳酸は価値の高い燃料ではあるものの、筋肉組織内に酸が増加することによって、筋収縮を妨げ、不快感を生じさせるという可能性は依然として残っています。ただし、運動後、1~2日後に突然生じる筋肉痛を、乳酸の責任にする理由はありません。なぜなら、激しい運動の1時間以内には、血中の乳酸値は標準レベルに戻るからです。

【まとめ】
乳酸は「筋肉に痛みを感じさせる老廃物」ではなく、筋肉にエネルギーを供給する有用な燃料である。



(※)乳酸性闘値とは?

乳酸性闘値の定義とその生理学的なメカニズムについては、まだ科学者の聞で議論が続いています。ただし、基本的な考え方はいたって単純です。ゆっくりとしたペースでランニングやサイクリングをしているとき、体調に問題がなければ、何時間でも継続できると感じます。しかし、徐々にペースを上げていくと、どこかの段階で速度を落とすか止まらざるを得なくなります。このプロセスのどこかに、長くは継続できない状態でエネルギーが燃焼しはじめるポイントがあります。それは、乳酸が血液中に蓄積する比率が劇的に増加するポイントです。乳酸性閲値とはこのポイントを指します。
一般的に、この乳酸性関値は約1時間持続できるぺース、および他の生理学的な変化、
たとえば、呼吸が激しくなる変化点と対応しています。このため、乳酸性闘値を知るための目安として「トークテスト」が用いられることもあります。この閥値に到達するぺースは、レースでのパフォーマンスやトレーニング内容を判断するうえで効果的な指標になります。アスリートの多くは、定期的に乳酸性関値を測定し、トレーニング成果の判断や練習計画の検討に用いています。長い間、科学の世界では、乳酸は痛みや疲労の原因となる有害な老廃物だと信じられてきました。しかし、これは相関関係と因果関係との混同から導かれた、誤った結論でした。筋肉が「酸素負債(連動に見合う十分な酸素が供給されないため、非効率的なエネルギー燃焼が必要になるとき、この状態になると、乳酸が多く生産されます。しかし、実際は乳酸は老廃物ではなく、燃料と呼ぶべきものなのです。ただし、血液の乳酸レベルが上昇する地点を好気的代謝(筋肉に十分な酸素が供給されている状態)から嫌気的代謝(酸素が不足しているために、そのぺースでの運動をいつまでも続けられない状態)への移行地点を把握するための目安として利用できます。乳酸性闇値とは血液中で乳酸が急速に蓄積しはじめる時点(有酸素運動ではなくなる時点)を示し、トレーニングの成果を見るための指標として用いられています。


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参照:WHICH COMES FIRST. CARDIO OR WEIGHTS?


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