このような症例がありました。
27歳女性
3年前に交通事故、激しいむち打ち。当初は両下肢に鋭い電撃様の疼痛。
事故後は比較的健康に過ごしていたが、3年経って、パソコンのタイプ時に
両腕に痛みが出現してきた。
最初は右側だけであったが、左側の痛みが増してきた。
その痛みはエクササイズで軽減する。
症状はいつも同じというわけではなく、首が疲れやすく保持しているのが
つらいことがある。
(実際にはキャリック本人の治療を録画した映像なのですべて英語。
理解に不十分があると思いますがご了承ください)
一般的に、この患者さんに何が起きているのか
評価するにあたって、お医者さんでも我々のような
徒手療法を行う者であっても、既往歴に何か原因が
隠れていないか考えると思います。
交通事故 → むち打ち → 両下肢に生じた電撃のよな疼痛
もしかして、脊髄損傷が生じていた?
その影響が3年経って、上肢に出現したのか?
しかし、運動で症状が軽くなるので脊髄損傷の影響とは
考えにくい・・・。
過去の既往とは関係がないのか?
では、カラダの状態を検査してみよう。という具合に
施術が進められると思います。
しかし、Dr.キャリックは「カラダ」ではなく「脳の働き」について
検査をすすめていきます。
【検査内容】
◆振動覚・・・手・膝・肩峰・鎖骨近位端 問題なし
◆輻湊反射・・・正面では本人が違和感を感じる。
首を回旋させた状態だと検査を受けやすくなる。
→これは中脳と小脳の関係を示している。
「エクササイズをすると症状が軽くなる」というのは
この連鎖が何かしら関係しているのかもしれない。
◆目に光をあてると、顔にわずかな不随意運動が生じて、カラダがわずかに揺れ始める
→中脳レベルが刺激された結果生じるカラダの反応
◆パーカッション・マイオトーニア・・・・両側陽性(+)
→両側大脳皮質の機能低下が生じているのか?
◆脈の測定・・・右側で不規則化
◆角膜反射・・・両側で反射消失
◆ロンバーグテスト・・・閉眼時でも起立可能
◆指ー鼻検査・・・わずかに左側で測定障害
◆オプトカイネティックテスト(左→右方向の流れ)・・・正常反応が示されず。
→この所見は左小脳の機能低下を示し、右皮質にも影響が生じていると推測できる。
通常、一般のカイロプラクターは、「鑑別」するために、
つまり、「病院へ通うべき症状であるか否か」を判断するために
上記のような検査を行いますが、DR.キャリックは、一般の施術では
行わない検査項目を次から次へ行っていきます。
そして、患者さんへのアドバイスとして、日常生活をおくる上で、視覚や
聴覚などの刺激をある一定方向から多く入れるよう指示していました。
私が思うに、
上記の症例のような患者さんは、
実際に全国各地の様々な治療院に来られているのでないでしょうか?
つまり、「脳の機能不全」によって、カラダのどこかに
症状が出現されている患者さんです。
我々は、脳の働きに対する知識と経験の拙さから、
「カラダのこの部分の動きが悪いから」等の判断で、
施術を行っているのではないでしょうか?
(もちろん、その見立てで症状が改善される方も
たくさんいらっしゃると思います)
このキャリックの神経学セミナーを受け始めた当初は
脳梗塞などで脳の働きが阻害されてしまった方々に
対する施術アプローチの仕方を学ぶものだと考えて
いましたが、今回の症例をみて、
実際に、我々がお会いしている患者さんの中には
「脳の機能不全」という観点も考慮しなくてはならない
場合もあるのではないかと考えさせられました。
大変勉強になりました。
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